感染症の一つであるヘルペスに感染した場合の治療方法は、ヘルペスを抑える抗ウイルス治療薬を使用して行われます。
ヘルぺスの治療方法は、外用薬や内服薬、またその両方を使ってウイルスの増殖を抑えていきます。
その治療薬の中で、広く利用されている内服薬が「バルトレックス」です。

バルトレックスは抗ウイルス薬ですが、中でも特にヘルペス全般に有用性があることで広く知られている内服薬です。
主成分は塩酸バラシクロビルで、感染初期段階で服用することによってウイルスの活動を抑制させて増殖を防ぐことができ、ヘルペスを改善させることができます。

しかし、内服薬というと外用薬よりも成分の吸収率が高いため、副作用が気になります。
そこで、バルトレックスの正しい知識や服用方法を身に付けて、安心して使うようにしましょう。

バルトレックスの副作用を防ぐ正しい服用方法

抗ウイルス薬のバルトレックスは、単純ヘルペスウイルスを完全に死滅させることはできませんが、ウイルスの増殖を抑えることでヘルペスを改善させることができます。

単純ヘルペスウイルスの種類

単純ヘルペス感染症単純ヘルペスウイルスには1型と2型の2種類があり、1型は口の周りや顔などの上半身に発症しやすく、2型は性器や足などの下半身に発症しやすいといわれています。
一度体内に侵入した単純ヘルペスウイルスは、今の医学では完全に排除することができません。
なぜなら、このウイルスは人間の細胞内に入り込なければ生きていけないからです。
特に性器ヘルペスの場合には、下半身の神経節などに潜んでいるため、治療が終了しても1年以内に80%以上の確率で再発するといわれています。

ヘルペスに感染した場合

性器ヘルペスに感染した場合、感染後から約4日~10日の潜伏期間を経て発症します。
性器ヘルペスは初めて感染した時が最も重症化しやすいとされており、特に女性の方がより重症化しがちです。

下半身にできる性器ヘルペスは、男性は主に陰茎や亀頭に多く、その他にも肛門の周囲や直腸の粘膜にもできることがあります。
女性は主に外陰や膣の入り口が多く、その他に子宮頸管や膀胱にもできることがあります。

上半身にできる口唇ヘルペスは、主に唇や口の周りの皮膚にできやすく、発症初期はピリピリ感を感じたり、ムズムズと不快感を感じるようになります。
その後、数時間~数日を経て水ぶくれができてきます。

治療薬のバルトレックス

バルトレックスは、1日2回の使用で1回につき1錠(500mg)を服用します。
ウイルスには、自分の分身(コピー)を作ることで増殖を繰り返すという特徴がありますが、バルトレックスはウイルス複製作用を抑制させる効果があり、これによってヘルペスを改善させていくことができます。
そのため、ウイルスが増殖を始める前の初期段階に服用することで、高い効果を発揮します。
その反面、服用の方法によっては頭痛・眠気・肝機能値の上昇・めまい・吐き気などの副作用を引き起こすことがあります。

副作用をなるべく引き起こさない服用方法

  • 多めの水でバルトレックスを飲むこと
  • 食前よりも食後に飲むこと
  • 自己判断で途中で止めないこと
  • 錠剤を潰さず飲むこと

性器ヘルペスは再発率が高い

性器ヘルペスの場合は特に再発率が高いため、治療期間も2ヶ月程度から長くて1年にわたることもあります。
しかし、この間にヘルペスが治まってきたとして自己判断でバルトレックスを止めてしまうと、再発する可能性が高くなります。
そのため、医師の指示に従って治療期間中はバルトレックスを飲み続けるようにしましょう。

口唇ヘルペスを治すには

口唇ヘルぺスの場合は、違和感を感じたらすぐにバルトレックスを飲むようにして、初期の段階でヘルペスを改善させることが大切です。
治療期間は早く処置をすれば数日~1週間程度で改善してきますが、バルトレックスは1週間は飲み続けるのが良いでしょう。
バルトレックスにはいくつかの副作用がありますが、臨床試験によるとその発生率は約16%で、最も多い副作用である頭痛でも約3%と、かなり低い発生率となっており、正しい服用方法で使用すれば副作用を防ぐことも可能です。

バルトレックスの併用禁忌薬とアレルギー

食欲不振バルトレックスの副作用で多いのが肝機能障害で、これにより食欲不振・吐き気・嘔吐・倦怠感などが出ます。
これは主成分である塩酸バラシクロビルが、肝臓内で代謝されてアシクロビルに変換されることで起こります。

アレルギーの方は服用禁止

アレルギーを持っている方は服用が禁止されています。
個人差はありますが、健康な方と比べて副作用が出やすく、重症化しやすいためです。
特に変換されたアシクロビルに対してアレルギー反応を起こす人は、どんな異変が生じるか分からないというリスクがあり、場合によってはアナフィラキシーショックを引き起こす可能性もあります。

免疫力の弱い人も注意

バルトレックスの服用で注意しなければならないのは、アレルギー体質の方だけではありません。
アレルギー以外では免疫力の弱い人で、特に高齢者や妊婦・授乳婦、乳幼児は注意が必要です。

高齢になると体力も低下するため、運動する機会も減り免疫力も低下しがちです。
個人差はありますが、内臓の機能が低下することで腎臓機能も衰えてきます。
すると、塩酸バラシクロビルの代謝成分であるアシクロビルが体外へと排出されにくくなり、体内に残ってしまう場合があります。
これによって副作用が起こる可能性があるのです。
特に一人暮らしの高齢者の場合、異変に気付く人が周囲にいないため危険です。

妊婦は控えたほうが良い

また、妊婦に対してバルトレックスの安全性がきちんと立証されていないため、何らかの異変が生じる可能性もあります。
授乳婦においても、バルトレックスの成分が、乳幼児に取り込まれてしまう可能性もあります。

バルトレックスの併用注意薬

バルトレックスには併用禁忌薬はありませんが、併用注意薬は数多くあります。
中でも、併用禁忌薬レベルに注意しなくてはならない薬は以下の4つです。

  • ベネシッド
  • タガメット
  • テオドール
  • セルセプト

この4つの薬剤は、併用禁忌薬ではないものの慎重投与となっています。

ベネシッド
主成分はプロネシドで、尿酸排泄促進作用があることから、主に痛風の治療薬として利用されています。
尿酸が血液に戻るのを抑制する効果があり、これによってバルトレックスの腎臓排泄作用が抑制され、バルトレックスの血中濃度が低下しなくなります。
タガメット
主成分はシメチジンで、胃酸抑制剤として利用されています。
ベネシッドほど強力ではありませんが、同様にバルトレックスの血中濃度の低下を抑制させてしまうため、副作用が起こりやすくなります。
テオドール
主成分はテオフィリンで、気管支拡張作用があることから気管支ぜんそくや慢性気管支炎などに利用されます。
バルトレックスとの併用で、テオフィリンの代謝が抑制され血中濃度が上昇してしまい、中毒を起こす場合があります。
セルセプト
主成分はミコフェノール酸モフェチルで、腎臓・心臓・肝臓・肺などの移植手術後に、拒絶反応を抑制させるために使用されます。
バルトレックスと併用すると、薬の相互作用によって排泄機能が抑制されて血中濃度が上昇するとされています。

バルトレックスの併用禁忌薬はありませんが、併用注意薬は数十種類もあり、上記の4つの薬剤においては併用禁忌薬レベルでの慎重投与が必要であり、その他の薬剤も同様に注意しなければなりません。

薬を服用するなら持病には注意が必要

バルトレックスの副作用を注意しなければならない人は、アレルギー体質の方、高齢者や妊婦、乳幼児以外に、何らかの持病を持っている方です。
持病には様々なものがありますが、特に注意しなければならない持病は、腎機能障害のある方です。

腎機能に障害がある方

腎機能に何らかの障害がある場合、バルトレックスの主成分が代謝されてできたアシクロビルが上手く体外へ排出されず、体内に蓄積してしまう可能性があります。
服用すると、高齢者と同様に個人差はありますが、副作用が出やすくなってしまいます。
そのため、腎機能の持病のある方は注意しましょう。
また、腎機能障害の持病を持った人がバルトレックスを過量に服用してしまうと、急性腎不全や錯乱・幻覚・意識低下・昏睡などの精神神経副作用を引き起こす危険性があるため、正しい服用方法を守ることが大切です。

持病はなくとも体質にも注意

腎臓機能以外の持病を持っている方には副作用が出ないというわけではありません。
副作用が出るか出ないかは、その人の体質やその時の体調によっても個人差があります。
そのため、バルトレックスの使用上の注意には記載された注意点に該当しなくても、服用したことで何らかの異変が生じる可能性もあります。

例えば、過敏症の方は発疹やじんましん、かゆみなどの異変が起こったり、稀に光線過敏症を引き起こすこともあります。
また、肝臓の持病がある方は肝機能値の上昇がみられ、消化器官では吐き気やおう吐、下痢、腹痛、泌尿器では排尿困難などの副作用が生じやすくなります。

稀に起こる重大な副作用

重大副作用としては、アレルギー体質の方に起こりやすいアナフィラキシーショックがあり、呼吸困難や血管浮腫などが起こる場合があります。
その他には、中毒性胃表皮壊死融解症、呼吸困難、間質性肺炎、肝炎、急性膵炎などがあります。
これらの副作用は、発生率が1%未満であったり頻度不明なものですが、これは持病のない方の発生率であり、持病のある方では発生率が高まる可能性も考えられます。

腎機能障害のある方や腎機能が低下している方、水痘症患者などの脱水症を起こしやすい方、高齢者などが服用する場合には、慎重を期すると共に適切な水分補給が必要となります。
また、体内のアシクロビル量が増加した場合には、腎機能障害や精神神経副作用が起こる危険性が高まります。
バルトレックスの服用間隔や1回の服用量を調節する必要があり、体調や状態を確認しながら医師の指示に従って服用することが大切です。

意識障害を誘発させることも

バルトレックスを服用すると、個人差はありますが意識障害を引き起こしやすくなります。
特に腎機能障害の持病を持っている方においては、他の持病に比べて意識障害が起こりやすいです。
そのため、腎機能障害のある方がバルトレックスを服用した後は、自動車やバイク、自転車などの危険を伴う運転や機械操作をすることはなるべく避けるようにし、どうしても行わなければならない場合には、十分に注意して行うようにしましょう。

個人差がある副作用は異変を感じたらすぐに病院へ行く

薬剤による副作用の発生は個人差があり、人によって軽度・重度の度合いも変わります。
そのため、一概に発生の有無を断言することは困難です。
健康な方であっても副作用が出る場合もありますし、健康な方では軽度であっても持病のある方や高齢者、妊婦、乳幼児では重大なものになる可能性もあります。

バルトレックスの副作用発生率

バルトレックスの副作用の発生状況は、単純疱疹患者397人に対する臨床試験において、64例(約16%)に何らかの異変が報告されています。
最も多い症例が頭痛で11例(約3%)、次いで眠気などの意識低下が10例(約3%)、肝機能調査値の上昇が5例(約1%)となっています。

また、海外で行われた性器ヘルペスの再発防止を目的とした臨床試験では、1646人の患者に対して481例(約29%)で副作用が報告されています。
多い順に、頭痛158例(約10%)、吐き気106例(約6%)、下痢62例(約4%)、腹痛43例(約3%)となっています。

このように比較してみても、性器ヘルペスの症例がとても多く、また副作用の発生率も高いことが分かります。
これが持病を持っている方になると、更に数値が上昇することがおおいに考えられます。
そのため、少しでもバルトレックスの服用に不安がある場合には医師に相談すること、また服用後に異変を感じたらすぐに病院へ行って医師の診断を受けることが大切です。

医療機関の助けでパートナーを守ろう

性器ヘルペスを発症した場合、感染率が高いためパートナーも性器ヘルペスに感染している可能性があります。
もし、パートナーが何らかのアレルギーや持病を持っていた場合、また併用注意薬を服用していた場合には、バルトレックスを処方され服用したことで、副作用を引き起こす可能性もあります。
もちろん、医療機関ではアレルギーや持病の有無等は確認しますが、自分が性器ヘルペスを発症した場合には、恥ずかしがらずにきちんとパートナーにもその旨を伝えることが大切であり、パートナーを守ることにもつながります。

性器ヘルペスは、口唇ヘルペスよりも再発率が格段に高く、一度感染すると1年以内に80%以上の確率で再発を繰り返すとされています。
また、バルトレックスの副作用発生率においても、口唇ヘルペスより高く、患者さんごとに副作用の種類や発生率に個人差があります。
重大な副作用になると、呼吸困難や皮膚の壊死、急性腎不全など、数多くの異常を引き起こす場合もあります。
バルトレックスを服用した後に少しでも異変が生じたら、命に係わる場合もあるため、自己判断で対処するのではなくすぐに担当医の診断を受けるようにしましょう。

副作用はあれども有効なことに変わりはない

しかしながら、バルトレックスは正しい服用方法で使用すれば副作用も少なく、効果的にヘルペスウイルスの増殖を抑制させてヘルペスを改善させることができます。
ウイルスを死滅させることはできませんが、増殖を抑えることはできるので大変有効な治療薬と言えます。