ヘルペスに感染するとHIV感染率も高まる

ヘルペスウィルスには、ほとんどの人が感染しています。
ヘルペスで多いのは口唇ヘルペスで、免疫力が落ちたときに、口の周りや唇に水ぶくれや潰瘍ができ、2週間くらいで治ります。
ヘルペスは非常に感染力が高く、一度感染すると、生涯体内にとどまり続けるというやっかいなウィルスです。
しかし、口唇ヘルペスの場合は、免疫力が落ちないように注意していれば、再発の頻度を減らすこともでき、ありふれた感染症として付き合っていく、という姿勢でいられます。
性器ヘルペスとなるとそうはいきません。
性器ヘルペスに感染し、患部に水ぶくれや潰瘍が出ているときは、HIVに感染する確率が飛躍的に高まるからです。

HIVは感染率の低いウィルスです。
性器ヘルペスのみならず、他の性病に比べても、相当感染率が低い方であり、性交での感染率は1%ほどであるとされます。
しかし、性器ヘルペスが発症している場合はそうはいきません。
発症しているのは、免疫力が低下しているためですから、それだけでHIVへの感染率は高まることとなります。
更に、発症してできた水ぶくれが破れたり、ただれていたりすれば、そこからHIVが簡単に侵入してしまいます。

粘膜の状態が正常であった場合のHIVの感染率が、およそ1%であっても、粘膜に炎症があれば、HIV感染率は3倍から5倍に跳ね上がり、粘膜に潰瘍があったら、50倍から300倍にもなると言われているほどです。
性器ヘルペスを発症している時の性交では、HIV感染の確率が非常に高まることを踏まえておきましょう。

性器ヘルペスだけで死に至ることはありません。
しかし、その治療をせず放置していると、HIVへの感染リスクが飛躍的に高まります。
ひとたびHIVに感染したら、完治する方法はなく、一生薬を飲み続けることになります。
服用を続けなければ、他の性病と異なり、確実に死に至る病です。
HIVへの感染リスクというのは、命に直結する問題です。

HIVに一度感染すると抗HIV薬を服用し続ける必要がある

HIVに感染すると、ウィルスは一生体内にとどまり、免疫細胞を破壊し続けます。
自然治癒することはありませんし、治療を受けずに放置していると、やがて免疫機能がほとんど失われ、普通にその辺にいる常在菌にすらむしばまれるようになります。
その状態がエイズです。
エイズを発症すると、もはや普通の生活は送れなくなります。
現代の医学をもってしても、エイズ患者を救命するのは容易ではありません。

HIVが世に知られるようになったつい30年ほど前は、HIV感染は死を意味していました。
感染したらなす術はなく、10年ほどでエイズを発症し、死に至ることは避けられませんでした。
幸い現在では、免疫細胞の破壊を食い止める抗HIV薬が開発され、その薬を生涯飲み続ければ、エイズを発症することもなく、普通に暮らしながら天寿をまっとうできるようになっています。
しかし、抗HIV薬の服用は生涯にわたって続ける必要があります。

問題なのは、感染に気づかぬまま、いきなりエイズを発症するケースです。
現在では、3割ほどがそうしたケースであるとされています。
ウィルスの威力が増し、ウィルス感染からエイズ発症までの期間が短くなっていることが指摘されています。
4年でエイズを発症するのは珍しくなくなっており、中には2年で発症というケースも報告されているほどです。

性器ヘルペスを含め、性病にかかれば、性器に炎症が起き、こうした致命的な病気がうつってしまうリスクが高まることを、十分に認識しておく必要があります。
性病を放置するリスクへの認識が高まることで、命を失うリスクを減らすことができます。
性病にかかったかもしれないという認識がある場合は、速やかに受診することが大事です。