日本人に多い性感染症とは

日本人に最も多い性感染症は性器クラミジア感染症です。
日本人の感染者数は平成28年で約2万5千人であり、他の代表的な性感染症と比べても2倍から4倍程度多くなっています。
性器クラミジア感染症は性行為が活発な若者に感染者数が多く、若者女性の感染者数が多いのが特徴です。

性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという細菌に感染することで起こります。
この菌は真菌の1種で偏性細胞内寄生体(宿主細胞の中でしか生存や増殖ができないもの)です。
細胞の中に入り込まなければ生きていけない非常に弱い菌なため、空気感染等はすることがなく、粘膜同士の直接接触や精液・膣分泌液等と粘膜の接触以外に感染することはありません。

性器クラミジア感染症の感染経路は、基本的に保菌者との性行為です。
粘膜が直接触れるだけで感染するため、コンドームをつけていなければ感染の疑いがあります。
また、咽頭感染の場合はディープキスでも感染し、保菌者の精液や膣分泌液に触れた手で目に触っても感染することもあります。

性器クラミジア感染症は、なかなか気が付かない性感染症です。
次のような場合速やかに医療機関を受診しましょう。
性行為後、男性は排尿時の痛みやかゆみ、しみたり膿が出た場合です。
女性は、水っぽいおりものが増加する、かゆみや臭いがきつくなる、性行為時に痛みが出た場合です。
そのまま治療せずに放置していると、最終的に不妊等に繋がることもあります。

感染した場合の治療については、薬物療法で簡単に治ります。
ジスロマックという薬を飲むだけです。
ジスロマックを飲めば完治し再発もありません。
このジスロマックという薬は日本性感染症学会が推奨する男女共に使用でき、妊娠中の人でも使用可能な薬です。
ただし、ジスロマックを飲む場合は必ず医療機関を受診し、医師の指示の下で服用して下さい。

日本人の若者に感染者数が最も多い性器クラミジア感染症ですが、早期に感染に気付けさえすればそんなに怖い性感染症ではありません。
ジスロマックという有効薬もありますし、性行為中にコンドームをつけることで比較的容易に予防もできます。
最近では若者もコンドームを付ける意識が高くなりつつあるので感染者数は昔に比べ減りました。
ただし、ここ10年程度横ばいなので、感染しないように若者だけでなく性行為をする人は予防に努めましょう。

性行為しなくても感染する性感染症もある

性感染症といえば性行為やそれに近い行為以外では感染しないものというイメージがあるでしょう。
しかし、性行為やそれに近い行為以外でも感染する性感染症があります。
それはトリコモナスという性感染症です。

トリコモナスとは、先にあげたクラミジアとは違い0.1ミリくらいの原虫に感染するものです。
男性は排尿時に尿と共に排出されることが多いのですが、排出されない場合、尿道炎になりかゆみや痛みがでます。
女性は膣や膀胱に炎症が起こりおりものが泡状で悪臭を伴ったり、膣内が熱いと感じる激しいかゆみや外陰部が赤くただれてひりひりしたり、排尿時にしみて痛いなどという性感染症です。
女性の場合は膣トリコモナス症といわれています。
膣トリコモナス症は古くから知られている性感染症ですが、日本人の感染者数は減少傾向にあります。
しかし、1度感染・発症すると何度も再発して治療が困難になる事例も多くみられるので注意が必要です。

日本人の性感染症は若者に増えていることは先にあげた通りですが、トリコモナスに関しては若年層から中高年まで幅広い層に感染者が見られるのが特徴となっています。
これは、性行為のみで感染するのではないからです。
トリコモナスという原虫が感染源なので、感染者が使用した下着やバスタオル、バスルームや温泉などの入浴施設、トイレの便座、医療機関の検診台などから感染する可能性があるのです(実際に例もあります)。

トリコモナスも他の性感染症と同様に、放置すれば最終的に不妊等に繋がっていくのですが、細菌ではないのでクラミジアのジスロマックのように薬を飲んで終わりという訳にはいきません。
抗原虫薬を10日間飲み、残存がないかどうか必ず調べなければなりません。
薬に耐性を持つトリコモナスもいるようです。
また、パートナーが感染していた場合、再発の危険が高くなるのでパートナーも受診してもらう必要があります。
このように性行為をしなくても感染する性感染症もありますので、少しでも不安があれば早めに医療機関にてクラミジアの検査受診することを強く勧めます。